2013年4月16日火曜日

ごちそうさまでした

今年の春は、オレゴンにしては雨が少なくて、お散歩日和なんですが、でも、花粉も大量に舞っている、という、悩ましい状態でした。皆様、お元気でいらっしゃいますか。

ここのところ更新が遅れている件ですが、このあいだも書いたように、最近は、食物アレルギーのせいで、ホント、自分の食卓がマンネリで、わざわざ写真に撮ってお見せするようなものでもないんですよ。

それと、自分の興味が変わってきてますね。食べ物と栄養については、もう、相当に書いてきましたから、アマチュアとしては、そろそろ、句読点を打つ時期かも。今は、それよりも、フェイスブックで、アートごっこをしたり、人の写真を見たりする方が、おもしろいから。

まあ、生きているんですから、少しずつ、興味が変化・発展するのは、自然なことでしょう。そういうわけで、このブログ、これからは、あまり更新しなくなると思います。もちろん、これまでの記事を見ていただくのは、どうぞ、好きになさってください。


cc: http://tinyurl.com/cjey2al
これまでのご愛読、ありがとうございました。おからだ、お大切に。

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2013年3月29日金曜日

草食動物も動物性たんぱく質をとっている?

この記事で紹介した Perfect Health Diet という本、糖質制限食の問題だけでなく、いろいろおもしろい話題が満載で、もっと書きたいんだけど、あんまりやると、紹介でなく盗作になってしまうのよね。でも、もう一回くらいはいいでしょう。

動物には、草食動物と肉食動物がいて、食物循環を形成している、というのは、学校で習ったけど、どうも、これは間違っていはいないけど、重要な点を見落としているようです。たとえば、牛には複数の胃があって、それぞれの胃には、別の役割がある。はじめの胃には、草食性のバクテリアが大量に住んでいて、それが草を食べて繁殖し、牛は、そのバクテリアを食べているんだそうです。(人間の胃と同様の働きをするのは、四番目の胃だけ)

えー、そうだとすると、牛は、自分のおなかの中に、バクテリアの飼育場を持っているようなものですよね。バクテリアのからだもたんぱく質でできているので、結局、牛も動物性たんぱく質をとっていることになる。

それって、人間が牛を飼育して食べるのと、同じようなものじゃないんですか。

私は理系じゃないので、このへんの生物学、よくわからないんですが、理屈としてスジが通っている気がする。だって、牛だって、ライオンだって、人だって、基本的なからだの構成は同じでしょう。骨があって、肉があって、血が流れている。植物と違って、太陽エネルギーを直接、活用することはできないから、そういうからだを作る材料や、呼吸したり内蔵を働かせたり、動いたりするエネルギーは、すべて、食べ物からとらなくてはならない。

同じようなものをつくったり、同じようなことをするための原材料は、同じようなものだ、と考える方が、理屈にあっていませんか。(牛だけでなく、草食動物には、バクテリアを栄養源として活用する仕組みが、なにかあるものなのだそうです)

まあ、個人的には、ここのところ、肉を食べるの飽きてきて、もっと菜食っぽいもの食べたいんですが。でも、この間、インド料理のダル(豆)を少し食べたら、おなかの調子悪くなったからなあ。ややこしいなあ。


肉を毎日食べていると、飽きるというか、疲れるというか。この感覚、わかっていただけるでしょうか。

ところで、この週末は、イースターですね。(イースターって、月齢と関係しているので、毎年、日が変わるんですよね)

まあ、私は、キリスト教とは関係ないんですが、小さい子が卵の形のおもちゃやお菓子を持ってニコニコしていたりするのを見るのは、楽しいものです。(昔は、卵とか、仔羊とかは、季節ものの食べ物だったんですよね)


(この写真は、creative commons のものです)

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2013年3月11日月曜日

セロトニンの増える春先

セロトニンを増やす方法についての記事、よく読まれているようですが、春先のこの時期は、大した努力しなくても、勝手にセロトニンが増えている気がしますね。日照時間が増えてきていますから。オレゴンも、ここ数日は、晴天つづきで、気温も10数度まで上がって、いい陽気です。公園に行くと、おとなも子どもも犬も、みんな幸せそうに走り回っている。こういうの、spring fever っていいます。別に熱が出るわけではなく、春先のなんだか落ち着かない幸せ気分のことです。

北国(このへんの緯度は、日本でいうと稚内くらい)に住んでいると、日照時間の変化には、いやでも敏感になります。もう、日に日に、グイグイ日が長くなっていく感じ。この日曜日(10日)から、デイライトセービングタイムが始まって、さらに1時間、日の落ちるのが遅くなったし。

セロトニンの幸せ効果って、あらためて、すごいなあと思います。もう、何にもしていなくても、幸せで、幸せで、青空を見上げて、ニタニタ笑っている、という、ちょっと困った状態になる。でも、いいの、まわりの人もみんなそうだから。(たとえば、私のピアノの先生も、先週は、いつになく饒舌で、ハイだったし)

雨期が、本当に終わるのは、もっとずっと先、5月の終わり頃、というのも、わかっているの。これは、ほんの中休み。でも、いいの、幸せって、今、にあるのよね(←完全に、セロトニンにやられている。冬の間、分泌が停滞していたからね)


天気のいい日は、外に出ようよね。セロトニン、いいですよ♡


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2013年2月27日水曜日

エビデンス(根拠)というものの危うさ

日本でも、「根拠に基づいた医療」という考え方が普及してきたようだ。(根拠:エビデンス:evidence )

ちゃんとした実験・研究の結果に基づいた医療は、もちろん、理論からの推論で「こうなるはず」でやっている医療や、医師の個人的経験に過大に頼る医療より、信頼性は、高いんだろう。ただ、問題がないわけじゃない。

問題1。エビデンスの信頼性のチェックをしているか。
実験は、ただすればそれでいいわけじゃない。適切な方法で対照実験をしているのか、対象の数は充分か、など、いろいろチェックするべきことがある。適切な実験なら、他の人がもう一度、確認の実験をして、同じ結果が出るはず。

いや、同じ結果が出たからって、まだ、すっかり信用できるわけじゃないけどね。もとの実験をした人も、確認実験をした人も、同じ先入観による誤りを犯しているかもしれないから。

問題2。エビデンスを、すべて熟知しておくのは、専門家にとっても、大変だ、ということ。
実験や臨床報告は、ものすごい量になる。多くは、英語だ。「超・糖質制限食の危険」で取り上げた Perfect Health Diet の作者は、米人で、肩書きによるとすごいインテリだけど、その人でさえ、「すべての資料を読んでおくのは、事実上、無理」といっている。

まして、日本のお医者さんや大学の先生は、そういうのを、どの程度読み込んでいるのか?(「日本は、今も、情報の鎖国」の件ですね)

つまり、お医者さんが「こういうエビデンスがある」という時、意味しているのは、「私は、こういうエビデンスを読んだことがある」ということ。まるで違うエビデンスがあるのかもしれない。

同様に「こういうことをすると害がある、というエビデンスはない」という時、意味しているのは、「これに反するエビデンスを、私は(寡聞にして)知らない」ということ。

どんな偉い学者でも、すべてのエビデンスを熟知してはいないのよ。そこを勘違いすると、「アルジャーノンに花束を」みたいなことになっちゃう。私としては、お医者さんとか、健康情報を書く人には、そういう謙虚さを期待したい。

また、このへんを鑑みて、数多のエビデンスを統計的に処理するシステムもできてきているけど、科学というものが現在進行形で変化しているものである以上、これも、完璧は期待できないと思う。

***
なんか、最近、このブログの閲覧数が、ますます増えているんですよね。更新が遅れているのに。昔の努力が、今報われているようで、ありがたいことです。(いやぁ、本業の方のブログでこれだけの閲覧数があったら、生活ラクになるんですが。。。)

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2013年2月19日火曜日

私の遅延型グルテンアレルギー、近況報告

あー、仕事が忙しかったりして、ちょっと、間があきましたね。

今日は、久しぶりに、私自身の食物アレルギーの話です。というか、失敗談です。こんなの書くの、恥ずかしいんですが(だって、「自分にアレルギーがあるのわかっているんなら、食べるなよなー」とか、つっこまれそうじゃないですか)、でも、ある意味で、思い切り嘲笑されると、恥ずかしさのあまり、行動パターンが変わるかも、という気もするので。

私のアレルギーは、遅延型なので、その問題食品を食べた当座は、なんともないんです。アナフィラキシーもじんましんもおきません。これは、もちろん、ありがたいことですが、同時に、問題でもある。

とりあえず、食べれちゃうから。

で、先々週、ケーキをひとつ、食べちゃったんですよ。つい。特に、理由ってない気がしますが。なんとなく、おいしそうだったから。

お昼過ぎだったかな。で、夜、寝る頃になって、おなかがグーッと締め付けられるような、イヤな感じがしてきた。空腹感とも似ているけど、もっとキツい感じ。

翌朝おきると、まぶたが腫れている。

ここ、ちょっと説明がいるんです。実は先月に、既にまぶたに炎症がおきていたんです。ちょうどその頃、税金の申告のために書類を整理していたら、昨年の一月にも、同じ症状で、医者にいっている。

これは、多分、日照不足によるビタミンD不足が、根本にあると思います。なんといっても、稚内と同じくらいの緯度で、しかも、冬は雨が多いので。ビタミンDのサプリもとっているんですが、それでも追いつかないみたい。

ビタミンD不足→肌(や骨)が弱くなる + 免疫力も弱まる
= 肌の薄い、たとえばまぶたのあたりから弱ってきて、
黴菌をやっつけることができなくなり、炎症をおこす

医者にいっても、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)入の軟膏をつけておきなさい、といわれるだけなのがわかっているので、今回は、ただ自分で薬を塗って、かなり治ってきていたんですが。

それが、ケーキを食べた翌日に、どーんと悪くなっている。というか、お岩さんみたいに、はれあがっている。(後から、薄皮がむけたし。痛かったよ)

その日は、なんか気持ち悪くて、午前中ほとんどなにも食べられなくて。やっと少し昼食を食べたら、吐き気がしてきた。

食べて、約24時間後、ですよ。

胃から出るものなんて、ほとんどなくて、代わりに、あまりの苦しさに涙と鼻水が出てきて、メソメソと横になっていると、体全体がかゆくなってくる。体全体、というのは、誇張ではなくて、本当に、耳の穴までかゆくなってくる。ああ、いやだ。

でも、これで終わりじゃないの。

そのさらに翌日。頭がもうろうとして、起きられない。でも、ピアノのレッスンもあるし、と思って起きると、ものすごい頭痛がする。何というか、目の奥で、化け物が踊っているみたいな。

なんか、こう書いてみると、二日酔いの症状にも似ていますね(二日酔いするほど、飲んだことないんですが)

結局、この日も、ほぼ一日、横になっていた。

ケーキ1個食べて、丸二日余り、棒にふるって、計算あわないですよね?

でも、私が思うに、これでも、すべてじゃないんだ。本当に問題なのは、おなかの中とか、血管とか、すぐに見えないところが、どのくらい傷んだか、ということ

私のグルテンアレルギー、どんどん、症状がキツくなってきている気がします。以前は、ちょっと食べても、ここまで具合悪くならなかったもの。せいぜい、ちょっとおなかが痛くなるくらいで。被害が累積するんでしょうか。

***

私の場合、アレルギーがある、とわかっているのは、グルテン(麦)、カゼイン(乳)、大豆タンパクです。中では、グルテンが、一番ひどい気がします。

カゼインっていうのは、分子構造が、グルテンに似ているそうですね。で、乳製品のタンパク質の大部分はカゼインだけど、ホエイ(乳清)はどうなのかな、と思って、プロテインパウダーを試したことがありますが、これもダメでした。検査でわかっているのが、上の3種、というだけで、他にも問題成分はあるみたい。(ちなみに、バターは大丈夫みたいです)

大豆に関しては、試してみようという気もないです。以前、納豆を食べて、これもその場はよくて、半日くらいしてから、おなかが、中に石でも入っているんじゃないか、というくらい苦しくなったので。

あー、死ぬときは、毒殺だけは勘弁してほしい。飲んじゃった後で、苦しいのに、もう吐くこともできない、という状態、すごくつらそうだから。

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2013年2月9日土曜日

これまでの人気記事

このブログを始めて2年ちょっとになる。最近は、ビューカウントとか、あまり気にしていないけど、でも、まぁ、自分が苦労して書いた記事が、よく読まれている、というのは、嬉しいことではある。

それで、これまでに閲覧数が1000を超えている記事をチェックしてみた。
    1. 私の糖質制限食の反省   (11657)
    2. ローフードがあう体質、合わない体質   (8925)
    3. 胃腸を丈夫にするための12の提案   (7829)
    4. 便秘や腰痛から知的障害まで。。グルテン(麦)の恐怖   (6591)
    5. 大豆は健康食品ではない(イソフラボンの危険)   (6463)
    6. ローフードと甘いものの過食   (5781)
    7. 「甘いものがやめられない」依存症としての甘いものの過食について   (5426)
    8. ローフードの問題点、まとめ   (5363) 
    9. 「ローフードとかマクロビとか知らないでいたときの方が、健康だった気がする」   (5114)
    10. セロトニンを増やすための8つの提案   (4288) 

    11. ナッツを食べる時、知っておきたいこと(必須脂肪酸オメガ3とオメガ6のバランス)   (3715)
    12. 菜食主義は本当に健康にいいか?   (3479) 
    13. 玄米が白米よりからだに悪いかもしれない三つの理由   (3473) 
    14. ローフード+肉、魚、卵=糖質制限食   (3208)
    15. 糖質制限食で筋肉が減る不思議   (3103)
    16. ローフードの問題点、まとめ   (3001)
    17. ローフーディストがしがちなアブナいやせ方   (2927) 
    18. 実例:ローフードにおける栄養障害 (2903) 
    19. 菜食主義を考える、まとめ   (2675) 
    20. マクロビ玄米菜食も糖質制限食も、なんかヘン   (2627) 

    21. 遅延型食物アレルギーを探り出す二つの手がかり   (2616) 
    22. オメガ3とオメガ6のバランスのいい種実類   (2442) 
    23. 朝食抜きはからだにいいのか、悪いのか   (2436) 
    24. 大豆は健康食品ではない、つづき   (2424)
    25. 摂食障害は複合汚染   (1980) 
    26. 甘いものを食べると一時的に気分が良くなる理由   (1972) 
    27. ローフードでごはんの過食を防ぐ   (1957) 
    28. 健全な食欲と過食の食欲の違い   (1934)  
    29. 菜食主義の危険   (1822) 
    30. 100%ローを目指さない理由   (1716) 

    31. 依存症とドーパミン  (1692) 
    32. 人類の進化から見たローフードの効能   (1689) 
    33. ローフードは酵素食だからからだにいいのか?   (1592) 
    34. 玄米クリームの応用   (1533) 
    35. 依存症克服への10のステップ   (1492)
    36. エンドルフィン、危険と快感、甘いもの   (1475) 
    37. パレオダイエットと糖質制限食の違い   (1370)
    38. 酵素とプロバイオテックスの違い   (1363) 
    39. FODMAP 消化しにくい炭水化物と過敏性腸症候群の関係  (1317)
    40. タンパク質の必要量 (1291)

    41. カロリー計算のウソと栄養学に関するわたしの三つの非常識な疑問   (1280) 
    42. 健康にいい肉、悪い肉   (1278) 
    43. 摂食障害は心でなく主にからだの問題   (1245) 
    44. わたしと甘いものの関係  (1227)  
    45. グリーンスムージーの応用2種   (1150) 
    46. 動物性脂肪はこわくない!?   (1071)
    47. 「正しいローフード」って何?  (1060) 
ひゃぁー、こんなにあるなんて、知らなかった。みんな、よく読んでくれているんだねぇ。ありがたいことです。これからも、よろしく。

(注:集積数なので、昔の記事の方が、有利ですね。将来、こういう集計をする時は、ここ12ヶ月の人気記事、など、そのヘンを考慮した形にしたいと思います)

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2013年2月8日金曜日

アメリカの差別問題の現在

「アメリカは、人種のルツボ」といわれるけど、私は、違うと思う。ルツボなら、混ざって、子どもの世代は同じくらいのベージュトーンの肌色になるはずだけど、そうはなっていない。

なぜか、というと、白人が白人との結婚を望むだけでなく、黒人も、黒人との結婚を望む人が多いからだ。もちろん例外は多いけど。

異人種間の婚姻は、1967年をもって、全米で合法化している。(それ以前に合法だった州も多いが、リンクした記事の地図にあるように、南部諸州では、このころまで認められていなかった)

差別撤廃の法改正としては、もっと重要なのは、1964年の公民権法だ。リンカーンが、1863年に奴隷解放宣言をして、実に100+年後のことだ。奴隷解放宣言は、宣言であって、実際は、まだ南北戦争が続いていたし、その後、全米で奴隷制が廃止されてからも、差別は続いていた。その差別のいうのが、日常レベルでどのくらいのものだったかは、たとえば「マルコムX自伝」を読むと、よくわかる。

1960年代。これ、それ以後に生まれた、若い人から見れば、昔のはなしなのかもしれないけど、みようによっては、ついこの間のことですよね。

そして、約50年後の今、事態はどうなっているのか。


(写真は、Wikipediaから借りました。左が、マーティン・ルーサー・キング牧師、右がマルコムX。それぞれ、まるで違うアプローチで差別撤廃に貢献した人たちです)
(話はそれますが、マルコムX、すんごいかっこいいよねぇ。映画では、デンゼル・ワシントンがやっていたんだよねー)

まず指摘しておかないといけないのは、差別というのは、差別されない側の人間、つまりメジャー側の人には、見えない、存在しない、ということ。

これは、「アメリカの」「人種差別」に限ったことではなくて、社会学的に、いろいろな面で実証されています。

だから、日本人の多くは、「日本には差別はない」ってなことを、平気でいっちゃうわけです。そういう人の意識には、アイヌとか、在日とか、最近になって婚姻や就業のために入ってきた外国人(特にアジア系)の人の立場は、のぼってこないんです。

差別撤廃の難しさのひとつは、ここにある。ごく普通の、別に悪気のない人が、こと差別問題となると、知らないうちに改善へのネックになってしまう。

もう一つは、トラウマの記憶の問題。60年代までは、人種差別が歴然としてあったわけだから、例えばわたしと同世代の米人の親の世代は、それを経験してきているんです。で、自分のしてきた苦労を、子どもに話す。いや、子ども世代も、小さい頃、まだ残っていた差別的な習慣を覚えているかもしれない。

そういうつらい記憶って、後を引くんですよね。今、本当はどうなのか、をあるがままにみることが、できにくくなってしまう。

三つ目の問題は、やっかみ。自分が、ちょっと不利な立場に立つと、そしてその自分が、一般的に差別されやすいとされている社会グループに属していると、すぐに「差別された!」と騒ぐ人って、いるものなんです。他の人も、同じ苦労をしているのかもしれない、という目配りができないらしい。

さて、私が渡米したのは、1995年です。20年近くの間に、北部(中西部)と南部と西部に住んで、学校に行ったり、仕事したりしてきて、どんな差別の経験を見聞してきたか。

。。。と考えてきて。。。あの。。。えーと、、、差別された経験って、ないんですけど?

***

あ、でも、ここで、差別とは、何なのか、定義しておかないと。大きくわけると、二つの考え方があると思う。
  1. 雇用機会均等法などにあるように、"race, color, religion, sex, national origin, age, disability or genetic information"(人種、肌の色、宗教、性別、国籍、年齢、身体能力や遺伝的素質)によって、機会(チャンス)が不均衡に与えらること。
  2. そういうことによって、違う扱いをすることすべて。
この二つの違いは、重要なんです。1は、どういうことかというと、たとえば、エンジニアの職を全うするのに必要なのは、適切な教育および経験、そういう教育や経験で培われた知識と技能、ですよね。肌の色や性別は、関係ないんですよ。

理工系に男性が多い、というのは、米国もですが、だからって、エンジニアの仕事をするのに、オチン**が必要なわけじゃない。人種も宗教も、関係ない。だから、そういう理由で、雇用や昇進の扱いを変えるのは、差別なんです。

一方で、その仕事をするのに、ある種の人種(など)の特性が必要な場合もあるわけです。マルコムXの映画を作るときは、あの人の役は、黒人俳優じゃなきゃつとまらないわけですよ。そういう場合は、黒人以外の俳優を(たとえ、非常に有能な俳優であっても)採用しないのは、差別ではないのです。

日本では、2の考え方が一般的なようですね。すべての人を、まるで何の違いもないかのように扱うのが、平等ということだ、と。アメリカでも、そういう考えはありますが。。。

でも、違いというのは、歴然としてあるわけですよ。私は、その違いを認めつつ、その違いが本質的な問題とならない場面では、公平なチャンスを与える、1の考え方が、実際的ではないかと思います。

***

で、私の経験に戻りますが、まず、学校は、全然問題ないですね。授業料を払って、授業に出席して、クラスでの討論にも参加して、決められた論文をきっちり書いて提出すれば、何人だろうと、単位が取れる。実に、単純明快です(もっというと、English のクラスで、自分は米人だから英語は当然できる、とタカをくくって、パラグラフ・ライティングの練習をいい加減にしたり、そのときの課題の意味をよく考えたりしない学生が、B や C をとるのを尻目に、A をとるのは、気分爽快じゃないですか)

仕事探しは、大変でしたが、これは、必ずしも、差別のせいではなかったと思います。アメリカの会社は、即戦力を求めているので、同種の職歴がない人が、仕事を見つけるのは、誰にとっても、難しいんです。つまり、インターンとか、パートとかで、職歴を築いていないと、新卒者の職探しはとても大変、ということ。これは、白人の若者も同じだと思います。

それでも、仕事は、見つかりました。わたし、これってすごいことだと思うんです。私みたいな、その2年ばかり前に渡米したばかりで、英語は、まあできるけど、でもちょっと訛っている、そして、既に30代の女を、雇ってくれようというところがあるんだから。(日本で、こんなにうまくいくだろうか?)

ある意味で、アメリカの企業って、仕事ができさえすれば、肌の色が緑色で、目が3ッつある宇宙人だって、雇ってくれるんじゃないだろうか(あ、もちろん、就業許可証は必要です)

就職してから、差別されたのは、、、えーと(すぐに思いつかないので、一日中、考えてみた)、、、あ、あります。

日系企業に、通訳兼秘書として勤めていたこと。そこには、もう一人、同じ役の人がいて、えーと、その人は日米の混血で、だから両国語に堪能、ということになっていたけど、実は、あまり英語のできない男性でした。こういうことを書くと、うぬぼれとか思われるかもしれないので、イヤなんだけど、まぁ、私とその人では、通訳としての能力が、格段に違う、というのは、社内の誰にとっても明らかで、だから、急な仕事、大切な仕事は、私の方にまわってくる。

それなのに、あるプロジェクトの通訳が、何の選考も相談もなしに、その人の方にいっちゃったんです。聞いてみると「このプロジェクトは、残業があるかもしれないから、男性向きだと思って」と。

これ、上の雇用機会均等法に照らし合わせると、差別なんですよね。

残業ができるか(あるいは、したいか)は、勝手に推測しないで、本人である私に聞いてから決めるべきなんです。そうしないで決めちゃう、ということは、本来なら、私にもあるはずのチャンスを、与えなかったことになるので。

その他の会社で、差別された記憶って、ないなー。仕事だけでなく、私生活でも、たとえば、アパート借りるのも、うちを買うのも、その他のお店のサービスでも、自分が有色人種だから、あるいは、外国人だから、女性だから、ある年齢だから、という理由で、差別された記憶は、ないです。

(あ、強いていうと、一人でレストランに行くと、サービス悪い気がする。ということは、人種差別より、性差別の方が、根強いのか?それとも、これは、女一人が食べる量なんてしれてるから、従って大したチップも期待できない、ということからくる、現実的な対処なのか?)

(あ、それと、これは、私が黄色人種だから、黒人の受ける差別が見えない、見えにくい、ということは、あるかも。実際、わたしがいたころ、北部と南部の境界の街シンシナティで、白人警官による黒人殺害事件があったし)

***

自分以外の人が、差別されているのを見聞きしたことはあるか?

うーん。これは、微妙な問題です。自分のことじゃないから、本当には、何がおきたのか、外からは充分にわからないから。

勤めていた会社の重役は、確かに、白人男性が多かったですね。でも、それが極端だったのは、先にあげた日系企業だけで。そこの米人重役は、一人が白人女性、他は全員、白人男性でした。(一人、女性が混じっているのは、「だから、うちは性差別していないんだ」といいわけするためです。いわば、スケープゴートにされた、あの方も大変だったでしょう)

オハイオの、比較的、黒人の多い都市の会社ですから、あれは、ちょっと不自然だった。黒人、あるいは、有色人種が、全人口に占める割合は、地域によって、すごい差があって、米国全体では、15−20%くらいらしいけど、50%を超える都市もある。コロンバスは、25%くらいだったんじゃないかな。

差別がなければ、管理職とか、あるいはその都市の政治家とかは、その地域の人口構成を、程よく反映するはずだから、そういう意味では、かくれた差別というのは、まだあるんでしょう。その日系企業以外の会社には、有色人種の重役も、何人もいたけれど、本当に人口比を反映しているかどうかまでは、私は知りません。

でも、私見では、そういう、いまだにかくれて存在する、グラスシーリングよりも、より問題なのは、差別ということに過敏反応してしまう心理だと思う

たとえば、シェークスピアの作品の中で、オセロとかベニスの商人は、最近、上演されることが少ない気がする。いい話なんだけど、確かに差別的な表現も含まれていて、そういうのを見て不快な思いをする人もいるだろうな、と思うし、そうである以上、商業演劇として、やりにくい、という事情もわかる。

でも。。。オセロって、理想の女性と結婚してしまった後の、男性の恐怖や弱さが、実にうまく描かれていて、貴重なんだけどね。。。(ほとんどの文学作品は、結婚するところで、話は終わってしまう。あるいは、結婚した後、相手が理想と違うことに気づくことに、基づいている)

そのへんがね、まあ、どういったらいいのか。。。実際には、既にあまり存在していない差別に、過剰反応してしまう社会、いや、存在はしているのかもしれないけど、それほど過剰反応しなくてもよさそうなものなのに、そうしてしまう、そこが、差別というものの、本質的な悲しさだと思う

追記
ご存知の方も多いでしょうが、「マルコムX自伝」(日本語訳もあるんですね)は、彼が、アレックス・ヘイリーに語った話をまとめたもので、ヘイリーは、この経験を機に、自らの家系に興味を持って調べ始め、後に大作「ルーツ」を書きました。

私は、マルコムX自伝は、大学の課題図書として読まされました。すごくいい本なんだけど、同時に、あんなに読んでいてつらい本も少ないでしょう。私は、それなりにしぶとくて、センチメンタルなお涙頂戴ものには、少しも心を動かされないけど、あれは、すごかった。

映画も、お勧めです。時間の制限などから、原作とは変えてあるところもありますが。映画のはじめ、星条旗が燃やされていくところで演説している声は、デンゼル・ワシントンではなく、本物のマルコムXです。

追記2
上の説明では、「マルコムX自伝」の魅力が伝わりませんね。あれは、最後で、ものすごくよくなるんです。それまで、ぐちゃぐちゃに暴走していた、とんでもない量のエネルギーが、あるところで、ぴたっと焦点が定まって、そうなると、エネルギー量が膨大だからこそ、もう、天まで飛んでいってしまう、みたいな。最後の章なんて、もう、お祈りか聖歌みたいに、美しいです。

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