2011年4月3日日曜日

依存症とドーパミン

摂食障害は依存症としての面もあるので、そのことを書こうと思う。

日本では依存症を「嗜癖」っていうんですか?それって、依存「症」として、これは医学的な問題なんだ、ということから目をそらそうとすることじゃないですか?そして、現実から目をそらし、問題を直視しないでいようとするのは、依存症の特徴のひとつだ、ってわかっています?

ある意味で、「わたしの食べ方は異常かも」って気づいている人は、既に回復に向かっているわけ。健康や日常生活に支障が出ているのに、「こんなの問題じゃない」「やめようと思えばいつでもやめられる」って思っている人の方が、より重症。

ここでは、依存症を「脳の報酬系の異常」としてとらえたいと思います。ある種の摂食障害は、アルコール依存症や薬物依存症と同じくこれがおきていて、そのくらい重大な問題なんです。もっとも、アルコール依存症や薬物依存症でさんざん苦しんで、そのためにその対策や治療法もいろいろ講じられているアメリカでも、「甘いものををやめられない?あらー、わたしもよ」なんて、このへんに関する認識の低さはまだまだありますが。

まず、報酬系とはなにか。

私たちがものごとを学習するのには、報酬を期待してする場合と罰を恐れてする場合とがある。報酬というのは、食べ物とかセックスとか、あるいは人にほめられるとか。

たとえば、ある行動をとって、それが食べ物の獲得につながったら、それを覚えておけば、生存に有利なわけですよ。人間は社会的な動物だから、人に好かれるっていうのも、生存には大切だし。

そこで、そういう「報酬」を得た場合は、脳のある部分から、ドーパミンという神経伝達物質が出て、いい気分になる。この脳の部分、さらにドーパミンが働く仕組みを、報酬系といいます。

ドーパミンは報酬を得てからだけでなく、報酬を得ることにつながりそうな手がかりを感知するだけでも出ます。手がかりを記憶しておいて、素早くそれに気づけば、報酬を得る確率が増えるからね。

たとえば、食べておいしかった小動物を見かけたら、もうそれだけで(まだ食べていないのに)ドーパミンが出始めて、その動物を捕まえるという行為に、私たちを駆り立てる。

だから、ドーパミンは、単にいい気分という以上に、その対象を欲しいという強い衝動、一般にはやる気といわれているものをもたらしてくれる。逆にいうと、ドーパミンが不足すると、何にもやる気がしない、夢も希望もない、人生ってなんてつまらないんだろう、っていうタイプのうつになってしまう。

こうやって、もともとは、好ましい行動を強化してくれるドーパミン。ところが、もっと簡単にドーパミンをだして、快感を得る方法がある

それが、アルコールとか、コカインとか、ニコチンとか、甘いもの。

自然の状態では、こういうものはそう簡単に手に入らないので、問題にならないけれど、現代のように、いつでもどこでも、簡単に、入手できるとどうなるか。

脳の報酬系を電気的に刺激しても、同様の快感が得られるんですが、これをネズミで実験したそうです。ネズミの脳に電極を指して、ボタンを押すと電流が流れるようにしておく。すると、そのネズミは、食べることも寝ることも忘れて、ボタンを押し続け、死んでしまうそうです。

現代って、これとほぼ同じことが、誰にでもできちゃう状況なわけ。

ドーパミンのもたらす快感は、本来は生存に役立つような学習をするためにあるのに、乱用すると、生存に必要な他のものごとの重要性を忘れてしまう、そのくらい強力なものなの。

さらに。こうやって不自然に大量のドーパミンを出させることを続けていると、からだはドーパミン受容体の一部を不活性化させてしまう。本人はどう思っていようと、そんなにも頻繁に大量のドーパミンが出ているというのは、からだにとっては異常なので、受容体を不活性化させることで、バランスをとろうとするのね。

これが、だんだんと酒量や薬物の量が増えていく理由。たくさんとらないと、以前と同じ効果がでなくなるわけ。これを、耐性ができる、といいます。

しかも、やめようとすると、禁断症状が出る。依存症になっているからだにとっては、その問題のものごとで人為的にドーパミンを出すことが日常化しているので、急にやめるとバランスが崩れてしまうのだ。禁断症状で最も一般的なのはクレービング(渇望感)。他には、憂鬱感、頭痛などからだのあちこちの痛み、集中力の喪失、イライラなど。(厳密にいうと、バランスが崩れているのは、ドーパミンだけでなく、セロトニンとか、エンドルフィンとか、その他いろいろありうる)

依存症の深刻さ、少しはわかっていただけたでしょうか。

最後に、自分の行動がただの好みなのか依存症なのか見分ける方法。依存症の定義にはいろいろあるんですが、そのひとつは「そのものごとが好ましくない結果につながるとわかっているのに、やめられない状態」というもの。

だから、一度やめてみる努力をしてみればわかります。それがアルコールや甘いものなどの「もの」でも、セックスとか賭け事とかの「行為」でも、やめようと思ってやめられるのは問題ないんです。だいたい、一ヶ月、苦もなくやめていられれば、心配しなくていいんじゃないかな。

依存症の場合、多分数日で、なにかいいわけをしてそのものごとを再開しようとするはずです。

摂食障害では、食べる量を問題視することが多いんですが、依存症という視点からは、量よりも、この、自分の意志を超えたところで摂食してしまうメカニズムを問題とします

今回、ちょっと理屈っぽい話になりましたが、もっと具体的な依存症対策も、順次書いていきます。(この依存症シリーズ、今週連続でお届けします)興味のある方は、コメントや応援クリックで知らせてもらえると、励みになります。

応援クリックお願いします。(別窓が開きます)ブログ村 料理ブログ


冷凍だけど、まあまあ良さそうなイワシがあったので、手開きにしてムニエルにする。グルテンフリーにするため、粉はタピオカ粉(片栗粉でもオーケー)横は、大根おろしとのり。

手開きにする時は、グロテスクでビビったけど、できてしまえば、別においしい。菜食主義で摂食障害に走っていたころは、こういうちゃんとした食事を、なんか、恐れていた気がする。

にほんブログ村 料理ブログ ローフードへ←おいしいもの、作って食べて楽しみましょう(クリックすると、他のすばらしいローフード/料理ブログを満載したサイトに飛んでいけます。よろしく!)

3 件のコメント:

  1. ももです。気づきを頂ける記事ありがとうございます。
    >自分の意志を超えたところで摂食してしまう
    ↑そうなんです!これ!これが苦しいんです。これがしんどいんです。
    今回も、すんなりと入ってくる記事で嬉しい反面、「こぉいう記事に興味を持たない自分だった頃に戻りたいな」とちょっと暗くなりました・・・(弱いな、自分)。でも仕方ない。こぉなってしまった自分、今からどぉしていこう、どぉしていったらいいか、を思おう。
    >菜食主義で摂食障害に走っていたころは、こういうちゃんとした食事を、なんか、恐れていた気がする。
    ↑アケミさんも、そういうときがあったんですね・・・。ホント「なんか、恐れて」しまったりするんですよね。

    返信削除
  2. ももさん、
    あったどころか、ついこの間のことです。依存症について、一般的な話を書き終えたら、わたしの個人的な体験談も、いつかのせたいと思っています。

    返信削除
  3. 記事、ありがとうございます。ドーパミンが理解しやく、読みやすかったです。

    返信削除