2012年4月26日木曜日

中西部イーストノースセントラル地方(オハイオ州)

ニューヨークあたりにいる人の相当部分は、よそからきた人なわけで、じゃあ、どこから来たのか、というと、まあ全米、いや世界中から人が集まってきているんですが、イメージとしては、中西部出身の人が多いはずなんですよ。

映画とかでも、そういう設定が多い。たとえば、「プラダを着た悪魔」のアンドレアはオハイオ出身となっている(あれ、原作では、違うんですか?)体格が良くて、人も良くて、努力家で、考え方は割と進歩的だけど、生活ぶりは質実剛健、という、中西部のステレオタイプを利用しているわけ。

東部と比べると、農業や工業の占める割合が増えて、人の動きも比較的安定しているし。

中西部の東に位置する、オハイオ州、ミシガン州、インディアナ州、ウィスコンシン州、イリノイ州をイーストノースセントラル地方といいます。歴史的には、北西部領土というのがあって、これがほぼ現在のこの地域です。平たくいうと、独立時に、既に入植がすすんでいてアメリカの領土と認められたけど、州として認められるほどではなかった地域(の中で、北の方)です。だから、人口の増加など、州として認められる条件が満たされるにつれて、州に格上げされていったわけです。

私は、オハイオ州コロンバスに10年住みましたから、このオハイオ周辺のはなしはしやすいです。

日本の自動車会社で、最初にアメリカに工場を造ったのはホンダですが、その工場はメアリーズビルという、コロンバスから車で数十分の街にあります。最初の生産が1982年。大工場の運営には、広い敷地や、安くてしかもまじめに働いてくれる労働力だけでなく、エンジニアや管理職などに、相当の教育を受けた人材も必要なわけで、その両方を集められる場所として、うまく選んだものです。(安い土地と労働力、だけに着目すると、大失敗する)

そして、オハイオにとっても、ホンダができたことで、下請けや関連企業ができて、経済的なメリットが大きかった。

また、コロンブバスには、オハイオ州大という、全米でも最大級の大学があります。そのため、留学生も多くて、意外と(?)進歩的な地域です。(?がついているのは、東海岸などの人から見ると、中西部は中西部で、田舎のイメージだから)

それに、オハイオの街というと、州都のコロンバスより、クリーブランドやシンシナティの方が、歴史的にも、有名なんだよねえ。

オハイオ川に面するシンシナティは、つまり、南部に近い街なわけです。地下鉄道って、聞いたことあるでしょうか。地下鉄ではなく、実際の鉄道でもなく、南北戦争の前、南部からの逃亡奴隷が北の自由州に逃げた経路と、その活動を支えた秘密組織のことです。その経路の要地のひとつがシンシナティです。

今の私たちから見ると、奴隷制というのは悪で、逃亡奴隷を助けた人たちは立派だ、と思うけど、当時は、少なくとも南部諸州では奴隷制は合法で、奴隷は個人の財産であり、つまり、その逃亡を助ける人たちこそが犯罪者、人の財産を盗む人たち、と思われていたわけ(大金で買ったものが、ある朝起きてみるといなくなっているわけだから)。だから、地下鉄道の活動は、秘密裏におこなわれなければならず、一見意味のない歌や暗号で、道筋や食べ物などが得られる場所を伝えたりしていたそうです。

で、一見矛盾しているみたいですが、シンシナティは、今も人種による軋轢の強いところです。私がいた頃にも、白人警官が逮捕されるのを避けようとして逃げた黒人青年を撃ち殺した事件がありました。逮捕に抵抗した、のでなく、逃げたからって、撃つか?犠牲者は、武器を持っていなかったし、これまで、凶悪犯罪に関わったこともない、ただのチンピラなのに。

テネシーに住んでいる間、この手の事件は聞いたことないなあ。私はあまりニュースに通じている方じゃないし、テネシーで起きていなくても、ミシシッピとかルイジアナとかでは、すごい人種問題があるのかもしれないけど。

ただ、あくまで私見ですが、南部では、人種問題はあるんだけど、両者にらみ合い状態で、こういうあからさまな暴力事件は、むしろ南部以外の大都市でおきている気がする。あの、ロドニーキング事件も、ロサンジェルスだったし。

オハイオだけでなく、中西部は、地形としては、どこまでも平らな農地(主にトウモロコシと大豆。ほとんどは家畜のエサになるらしい)が続いているイメージがあります。平らなのは、氷河期に、氷河の裾野だったからで、このへんで、氷河によって削り落とされた山の土が、凍ったり溶けたりをくり返して、ぬかるんで、結果として、肥沃な大平原になったわけです。南に走っていって、オハイオだとシンシナティのあたりにくると、氷河の影響を受けなかったために、突然、という感じで山が現れます。

平らなために、北の冷たい気団を遮るものがなく、冬は、ドーンと冷え込む地域です。(このへんの寒さと暗さについては、この記事をご覧ください)

長くなるので、この地域の他の州に関しては、次回にします。

2 件のコメント:

  1. このシリーズ読んでいておもしろいです.
    かなり久しぶりに地図帳でまじまじと北米大陸を
    見てみましたが,あまりの広さにクラっとしてしまいました.
    州をまたいだお引越しもすんなり行くんでしょうか?

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  2. そうですよー、広いですよー。地図帳、私大好きで、ヒマな時に見ています。
    これだけ広くても州を越えて引っ越す人は結構います。私がテネシーからオレゴンに引っ越したときは、荷物のトラックが着くまでの2週間、何もないアパートで、寝袋で過ごしました(2週間もホテルで暮らすお金がなかったので)大型トラックは、私の荷物以外に、いくつも荷があって、それを配達しながらくるので、時間がかかるのです。車も、それで運んでもらい、自分は飛行機で来ました。ひとりで、ロッキー山脈を運転する気になれなかったので。

    オハイオからテネシーに移ったときは、車は、自分で運転しましたが。

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