2012年8月6日月曜日

パレオダイエットと糖質制限食の違い

レクチン除去食の記事に、「これってパレオ(原始人)ダイエットですよね?」というコメントがあったので、そのへん、もう少し詳しく書いてみようと思う。

パレオダイエットというのは、農業革命以前の人類の本来の食餌を再現しようとするもの。だから、以下のものは食べない。
  1. 穀物(米などグルテンを含まないもの、また、厳密にいうと穀類ではない、キヌアやソバ、トウモロコシなどの雑穀も)
  2. 豆類(ピーナッツを含む)
  3. 乳製品
  4. 植物油
  5. 砂糖、人工甘味料、添加物(化学調味料など)
食べるのは、
  1. 肉、魚介、卵などの動物性たんぱく質(念のためいっておきますが、生である必要はありません。人類は、人類になったころから、火を使っています)
  2. 野菜
  3. 果物
食べていいかどうか、議論の分かれるものもある。例えばイモ類。レクチン除去食の記事に書いた Whole 30 の人たちは、経験的に、ジャガイモはダメだけど、サツマイモはオーケーといっているけど、糖質が高いからすべてもイモ類はダメ、という人もいる。

豆類も、サヤインゲンやスナップエンドウのように、さやごと、若いものを野菜として食べるのはオーケーという説もあるし。

種実類も、少なくとも食べ過ぎない方がいいものらしい。

植物油に関しては、栄養的にいうと、多価不飽和脂肪酸が多いので不安定(酸化しやすい)だし、ほとんどはオメガ3とオメガ6のバランスがよくない。歴史的には、大量の種実を絞って、さらにものによっては精製しないといけない植物油というのは、歴史が浅い。どうしても、という場合は、オリーブ油が、一価脂肪酸が多いので比較的安定していていいらしい。

調味料では、塩は、とりあえず、オーケーとしよう(ただし、塩漬けとかはダメ)豆がNGだから、しょうゆや味噌はダメ。酢は、自然な醸造酢ならオーケー。甘みをつけたいときは、果物(のジュースやドライフルーツ)の甘みを利用するように、とあるけど、それもほどほどに。糖分への異常依存を治すことが大切だから。

で、ここで、パレオと糖質制限食との違いなんだけど。私は、昨年しばらく、江部先生の本やブログを参考に糖質制限食をしてみたんだけど、結果はあまり良くなかった。(詳しくは、「糖質制限食」のラベルの記事や、レクチン除去食の記事でリンクした記事をご覧ください)

糖質制限食の人は、これが人類の本来の食餌で、だからからだにいいのだ、というけど、よく見ると、いろいろヘンなんだ。

例えば、江部先生は、毎晩晩酌していらっしゃるらしい。サルでもヤシ酒を作るそうだから、原始人もお酒は飲んだのかもしれないけど、それは時々でしょう。毎晩飲んだくれていたら、すぐに猛獣の餌食になってしまうよ。だいたい、そのままで食べられる果物を発酵させて酒にするっていうのは、ずいぶん「贅沢」なことで、それほどたくさんのお酒は作れなかったはず。

それに、その原始的な酒は、醸造酒だ。人類が蒸留技術を身につけたのは、砂糖の精製と同じくらい歴史が浅い。だから、血糖が上がらないからって、焼酎やウイスキーを飲むのは、人類の本来の食としては、ヘン。

同じく、血糖値に影響しないからって、人工甘味料を使ったお菓子を食べるのは、とってもヘン。なんか、こうしてみると、糖質制限食の人って、都合のいいときだけ、これが人類の本来の食餌だ、といって、一方では糖質さえ少なければ、ずいぶん不自然な食べ物も食べているらしい。

私には、原始人が、カーブカウントしていたとは思えないんですが。(注。糖尿病の治療として糖質制限食をしている人は、それが人類本来の食かどうか、なんてことに悩まないで、治療に専念してください)

一般の人にとって問題なのは、異常な糖質依存なんじゃないか。それは、私のように、甘いものの過食という摂食異常として現れることもあるし、甘くなくても、パンとかポテチとかの糖質食品への依存として現れるかもしれない。(アルコール依存も、含まれるかも)別に制限しなくても、他の栄養素とバランスのとれた形で、その人にとって適切な量の糖質をとればいいんじゃないか。

自然なパレオダイエットが、そういう状態にからだを治してくれるのなら、試してみる価値はある、と、私は思う。(あーでも、ダイエットって言葉、いやだねえ。別にやせるためにしているんじゃないのよ)

つまり、パレオで、からだが回復するにつれて、異常な糖質依存も治れば、結果的に、(少なくともゆるい)糖質制限食になるけど、糖質制限食は必ずしもパレオではない、ということ。

なお、パレオの食べ方が、一般のメディアで「健康的な食事」としてとり上げられることは、これからもない、と思います。穀物の栽培(日本での米、アメリカでの小麦とトウモロコシ、など)は、その国の農業の中心で、だから、国の農業を保護するためにも、政府は、穀物がいかにすばらしいか、宣伝し続けるでしょうし、パレオ的食餌のために研究費は出さないでしょう。

(もひとつ、ついでに。穀物などの栽培と摂取は、それ自体、比較的歴史が浅いだけでなく、現在栽培されている穀物は、品種改良がすすんでいて、つい100年前の同種の穀物とさえ、相当に異なるもののようです。品種「改良」というと、いいことのようですが、収穫しやすいように草丈が伸びないようにするとか、より病害虫に強く、収量が多いようにするとか、要は、ビジネスとしての農業の都合で変えてきたわけで、食べる人の健康を考えてきたわけではありません。遺伝子組み換えなんて、その最たるものですが、それ以外の一般的な品種改良も、そういう新種の穀物に、人間の胃腸が対応できるのか?疑問です)


にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ にほんブログ村 料理ブログ 食の安全・食の基礎知識(料理)へ

10 件のコメント:

  1. こんにちは。

    少し前にこちらのブログに行き着いて、それ以来、よく拝見させていただいてます。

    僕は今のところビーガンを続けていて、健康以外の側面からもできるだけ継続していきたいと思っていますが、まだ3年しか経っていませんし、長期的な影響は何ともいえません。

    で、最近は80/10/10を参考にしつつも100%ローである必要はないと感じているので、ローでは食べれれない食材(根菜、イモ類、パスタ、お米等)も食べていて、要するに"High Carb, Low Fat"を優先しています。

    Paleo Dietや"Low Carb, High Protein"あるいは"Low Carb, High Fat"の糖質制限ダイエットも知識としてはありますが、何となく僕には解せない気がしていて、"High Carb, Low Fat"の根拠にもなりますが、Dr. John McDougall、Dr. Neal Barnard、Dr. Joel Fuhrman等の意見も参考にしています。

    興味深いプレゼンとして例えば以下等がありますが、どのように思われますか?

    The Starch Solution - John McDougall MD
    http://www.youtube.com/watch?v=4XVf36nwraw

    Dr. Neal Barnard Part 1
    http://www.youtube.com/watch?v=lNfXjOF-sVc

    僕としては基本的に"High Carb, Low Fatの"ビーガンというスタイルで十分にサステインできると思っていて、最近は炭水化物源としてフルーツなのか穀物やイモ類なのか、その辺を実験している感じです。

    とても長くなってしまいましたが…。

    reigen

    返信削除
  2. このコメントは投稿者によって削除されました。

    返信削除
  3. このブログの以前の記事を読んでくださったのならご存知でしょうが、私は、しばらくローフードしていて、その頃ほぼビーガンでした。で、いろいろ問題が出ました。

    でも、人それぞれですから、ビーガンで調子いいなら、いいんじゃないですか。レクチン除去食の最後に追記してありますが、要は、自分のからだにあっているかどうかが問題なんですよ。どこかの先生がいったことや何かの理論を、頭の中で、これはいいかとか考えていても、いや考えた上で実践で試すのならいいんですが、考えているばかりでは、何もわかりませんから。

    Dr. Neal Barnard、Dr. Joel Fuhrmanは、本を読んだことがあります。納得のいくところ(野菜や果物がからだにいいのは、言うまでもないでしょう)といかないところ(動物性たんぱく質の話になると、すぐ、適量を超えて食べたり、不健康な状態の動物の肉のはなしになる。健全な肉を適量食べた場合の議論が乏しい)があります。

    栄養に関することでは、まだまだわからないことがたくさんあります。全部わかっているような言い方をする先生がいたら、それは問題です。私見では、もひとつ問題なのは、すべての人に共通の、完璧な食餌法、なんてものがある、と仮定していることです。

    返信削除
    返信
    1. お返事有難うございます。

      確かに人類全ての人に最適な唯一のダイエットというはないと思いますので、僕も自分なりに調べて実験して体感してというのを優先しています。

      その中で、80/10/10には惹かれる部分は多いのですが、日本だとフルーツを大量に食べるには、質と値段が全く見合わないので現実的には見送りかなと思っています。

      ということで、今は炭水化物中心のダイエットを試していて、自分に合う炭水化物源が分かればなという感じで、その後必要であれば、炭水化物、脂質、タンパク質の比率を見直したりしようかと思っています。

      削除
  4. 記事にしていただいてありがとうございます

    3日間何とかやろうとしてみましたが、
    中々守れてない状況です。

    元々、自分なりに食事を工夫していて、
    穀物はほとんど食べない食事をしていたので、
    穀物については何の未練もないのですが、
    豆類(豆腐とピーナッツ)と乳製品を除くのが中々難しいです・・・

    以前さつまいもを主食にしていたとき、
    白米を食べていた頃より体調がむしろ悪化したので、
    イモ類はそれ以降ほとんど食べてないです。
    果物も同様です。

    乳製品は単純に好きというのもあるのですが、
    穀物の糖質をとらない場合、
    どうやって糖質を補給するか試行錯誤したところ、
    乳製品が比較的体調的な悪化ないことがわかり、
    それ以降主食の代わりとなってました。
    ただ、乳製品を少量でも取ると、
    眠気や頭がボーっとする感じがあるので、
    本当はとらない方がいいんだろうなとは思ってました。
    穀物や砂糖をほとんどとらない生活をしてると、
    牛乳がジュースのように甘く感じるし、
    無糖ヨーグルトもチーズのような味がします。

    乳製品をカット、穀物、イモ類、果物も駄目となると、
    頭がボーっとしない程度の最低限の糖質をとるのも
    なかなか大変です。
    野菜を大量に食べるしかないのですかね・・・

    豆腐やピーナッツは毎日のように食べてました。
    どうも、糖質を控えると脂質の多いものを欲するようになるようです。
    以前、いわゆる白米主体の日本食を食べていた頃は、
    ピーナッツやナッツ類は食べたいとも思いませんでした。
    今は半分依存症に近いです(乳製品も・・・)

    当面の問題は、
    いかに野菜からの糖質を稼ぐかですね
    これが出来れば、乳製品や豆類への欲求もおさまるはずなので

    返信削除
  5. やっぱり、人それぞれなんですね。
    確かに、イモ類も果物もダメ、となると、苦しいですね。カボチャとか、根菜はどうですか。
    まあ、マイペースで試してみてください。わたし、この食べ方がみんなにとって最高の食餌だ、なんて、勧める気はないですから。

    返信削除
  6. 了解です

    根菜(人参)は積極的に食べますが、
    それでも糖質が足りない感じは払拭できないですね。
    かぼちゃはさつまいもと似たような感じになります。

    無理してやっても続かないことは分かっているので、
    やるのやめます

    今回分かったこと(あくまで自分の場合です)
    ・最近の日中の眠気の原因が乳製品であったこと
    →夜だけ食べることにします
    ・おからや納豆が眠気を誘発すること
    (豆腐は自分の場合OKのようです、豆腐は食物繊維少ないことと関係?)
    ・野菜でも沢山食べると何となく調子が良くないこと
    (食物繊維多すぎるのもNG?)

    自分の場合の甘いものが食べたくなる条件
    ・運動(特に有酸素運動)をあまりしていないとき
    ・糖質摂取量が少なすぎるとき
    (空腹感というより飢餓感に近くなります)
    ・タンパク質の摂取割合が(糖質や脂質と比べて)多いとき
    (絶対量ではなく、あくまで割合です。これも飢餓感に近い)
    参考にどうぞ

    返信削除
  7. 糖質摂取量が少なすぎるときや、タンパク質の摂取割合が(糖質や脂質と比べて)多いとき、甘いものが食べたくなるって、わかる気がします。これ、また詳しく書くつもりですが、私この食べ方をしていても、肉を食べ過ぎないようにしています。それから、糖質も、無理に減らさないように。(だから、糖質制限食じゃないのよー)

    返信削除
  8. 脂たっぷりの肉を食べまくると、
    次の日はかなり調子はいいですが、
    長期的な影響を考えると自分も怖くて出来ないですね。

    豚肉や牛肉は飲み会の時に
    気にせずに食べまくれるよう、
    家では食べないようにしてます(笑

    アケミさんはパレオダイエット(というか30Whole)で、
    糖質を何からとってますか?

    返信削除
  9. 私の食餌の内容は、またあらためて記事にしますね(だから、そんなにお肉食べていないんですよー。1日に100グラムくらい、多い日でも、150gくらいかな)

    返信削除