2012年9月13日木曜日

私は文学少女じゃないけど

生活の温度」の null さんと、映画 "Into The Wild" (「荒野へ」)、およびフォークナーと源氏物語について、コメントでやり取りして、まあ、null さんは大変だったでしょうが、私は楽しかったです。(この三つがどうつながっているのかは、この記事のコメント欄を見てね)(私が、もっと熱心な読書家なら、ここでソローについてもコメントできたんですが。。。)

私の話についてこられる人は稀だからねえ。大抵の人は、私の話は飛び過ぎて、分けがわからない、と思うらしい。私としては、ムヤミと飛ばしているわけじゃなくて、ちゃんと意味があって、つながっているんだけど。

で、話の勢いで、西洋の古典文学のいくつかについて書いておこうと思う(食べ物ブログだと思ってきていただいている方、遠慮なくパスしてください。あ、それと、私は、文学はまるで専門外ですし、記憶で書いているので、多少ヘンなところがあるかもしれませんが、そこは笑って許してやってください)

例えば、シェークスピアだ。シェークスピアは、庶民の観劇のために書いたので、観客の注意の維持の仕方、笑わせどころ、泣かせどころ、実にメリハリがきいている。あれを読むコツは、2-3時間で読み切ること。だって劇の脚本なんだから、上演時間はそのくらいでしょう。注釈を読みながら、ウダウダ時間かけて読んでいては、鮮度が落ちる。

彼のユーモアのセンスがね。例えば、「リチャード3世」で、主人公リチャードが、アンという女性に求婚するシーン。というとロマンチックなんだけど、実は、アンはリチャードを、見るも汚らわしい、と嫌っている。というのは、アンの前夫とその父親を殺したのがリチャードだから。政略結婚とはいえ、アンと前夫は仲が良くて、義理の父親は、人々に愛されたよい王様で、アンも敬愛していた人だった。

リチャード「あなたは、夫を失ったのではありません。もっとよい夫がふさわしいから、神が、あなたを自由の身にしたのです」
アン「もっとよい夫ですって?そんな人がどこにいるというの(あんないい人、二人といるわけないわ)」
リチャード「あなたの目の前に」

こういうことを、シラッといっちゃうリチャード、すごいですねー。(で、なぜか二人は結婚してしまう)

米国(いや、ヨーロッパとかでもかもしれないけど)では、夏になると、公園の野外劇場で、よく市民劇団が演劇するけど(大抵、無料。自分でゴザとか持っていく)、その出し物にシェークスピアは多い。衣装もセットも現代風にして、ちょっと、ロック歌舞伎みたいなノリで演じられることもある。

ホメロスの「イリアス」「オデュッセイア」、ギリシア悲劇とかもおもしろいんだけど、このくらい古くなると、当時の常識とか基礎知識と私たちのそれが違うために、ちょっと戸惑うよね。

私は、「イリアス」の方が、より raw で好きです。これは、不死(ということになっている)の英雄アキレス君が主人公(推定年齢18歳)。不死なんだから、怖いものなしで、ギリシア連合軍ナンバーワンの戦士なんだけど、ある時、連合軍総指揮官アガメムノン(推定年齢35歳としよう。当時、40歳過ぎは、初老って感じだったろうから、総指揮官があまりに年配だとは思えない)と、女の取り合いに負けて(アガメムノンは権力者だからね)、もーこんなやつの下で働いていられるかい、僕は、うちに帰る、と言いだす。

ギリシアの他の人たち(実は、この人たちも、ホンネはうちに帰りたいんだが、オトナは、タテマエとかタイメンとかあるので、決着がつくまで帰れない)は、アキレスなしでは、トロイとの戦争に勝てないかもしれないので、なんとかなだめようとするけど、いったんイジけてしまった若者の機嫌は直らない。。。

もー、この始まりからしてすごいじゃないですか。ケンカの原因が、なんと、女一人のこと。(詳しい事情は、もっと生々しくてすごいんだけど、あんまり書くと、これから読む人の楽しみを奪っちゃうからねえ)まあ、この戦争の原因も、別の女のとりあいなんだけど。

で、いろいろ見せ場があるんですが、長くなるのではしょって。この、アキレスがすねて戦場に行かなくなったせいで、彼の親友は死んでしまう。アキレスは鬱々として、ただ、朝に夕に、海辺を一人歩いている。(うちに帰りたいんだけど、うちは海の向こうなので、一人でさっさと帰るわけにいかない。それに、今は、とにかく憂鬱で、なにもする気がしない)

ここで、一人息子を心配した彼のお母さんが登場。お母さんは、海の神の娘なので、水の中から出てくるんだ。あの、ギリシアの、薄いヒラヒラの衣装で。で、お母さんといっても、女神なので、永遠に若くて美しいんだ。どういう感じか、想像してみて。

しかもいうことがすごい。「そんなに鬱々としていては、からだに毒よ。女の子と遊んだら。気が晴れるわよ」こういうこと、普通の母親はいわないです。

「イリアス」では、アキレスと、トロイ側の総大将のヘクターと、どちらが好きか、というのも、おもしろい。不思議と、読む人によって好みがはっきり二分するようです。

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3 件のコメント:

  1. まあアケミさん。
    楽しい記事をありがとうございます。
    ゴザを持ってシェイクスピアを観にいくの、いいなあ。しかも無料! うらやましいなあ。そういう庶民感覚がいいですね。鮮度が落ちないように短時間で読む、というのにもふか〜く頷きました。

    イリアス、なんとなく敬遠してたのですけど、きらいな世界じゃないし、そのうち読みますね!
    (実はトイレに置いてある。)

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  2. この記事は、null さんのために書いたようなものですからね(笑)もちろん、他に楽しんでくださる方がいれば、そんな結構なことはありませんが。

    公園のシェークスピアは、これまでに住んだ3都市すべてでありましたから、かなり普及しているんだと思います。まあ、出来は、いろいろなんですが、夕涼みには、いいですよ。ゴザの他に、防虫スプレーも持ってね。

    トイレのイリアス、、、(笑)読んだら、アキレスとヘクターと、どちらが好きか、教えてください。(わたしの勘では、null さんはヘクター派ではないかと)

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  3. ほい〜、
    イリアスの番がいつ来るのかわからないけれど、そのおりには報告します。
    ソローがしばしばとりあげていたので、イリアスを読まなきゃと思ってはいるんですよ。

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