2013年2月1日金曜日

日本は、今も、情報の鎖国

ここ10年くらい、気になって仕方がないことがある。食べ物とは直接関係ないけど、書いておこうと思う。

インターネットが普及して、情報の流通が、ケタ違いに進んできている、というのは、私などが指摘するまでもないことだ。以前は、一部の人が情報の発信者だったけど、今は誰でも、みんな、世界中の人に情報を提供できる。その流通している情報の中には、いい加減なものも多いけど、本当の意味で「現場」からの、生きた真実の情報もある。

だけど、ここで、ひとつ、ネックになることがある。そう、言語の問題だ。


普通の人が、世界を相手に情報を発信できる、という、人類史初のものすごい力も、世界の人たちが理解できる言語で発信できなかったら、意味ないのだ。


そして、インターネットが、米国で生まれ育った以上、好むと好まざるとに関わらず、ネットの標準語は、英語なのだ。英語でブログを書いたり、ソーシャルメディアを使っているのは、英米の人だけじゃない。ヨーロッパの人も、アジアの多くの国の人も、英語で発信している。その程度の英語力は、常識になってきている。

この傾向は、これから、さらに加速こそすれ、衰えることはないと思う。

世界中がそういう方向で動いているとき、英語が使えない人、英語のできる人が少ない国、は、どうなっていくのか?

当然、世界から置いてきぼりを食うでしょうね。置いてきぼりというより、世界から忘れられてしまうかも。

問題は、情報の発信だけではない。受信の方も、心もとない。

日本という、英語ができなくても日本語ができれば、とりあえず暮らしていける社会にいると、自分が情報面で遅れているかもしれない、なんて、考えもしないわけですよ。別に、何の不自由もないと思っている。

それは、ちょうど、鎖国時代の日本人が、別に世界の他の地域で何がおきていても、気にしなかったのと似ている。気にしない、というより、知る方法がなかったのだから、世界に置いてきぼりにされる、という、危機感もない。ある時、黒船を見て、ビックリするまでは。

もちろん、今は、江戸時代のように、世界の情報が(少なくとも一般人に)まるで入ってこない、わけではない。ちゃんと英語のわかる人が日本語に訳してくれるから、大丈夫、と思っている人も多いんだろう。

実際、世界中のニュースは、即、日本のメディアにのるし、もっと文化的なもの、映画とか文学とか技術書とかも、どんどん翻訳されている。翻訳される情報だけでもすごい量で、追いつけないくらいだ。

でもね、だから、大丈夫、と思うのは、早計だと思う。

翻訳された情報に頼る、ということは、自分の知らない誰かに、何をどう翻訳するかまかせて、チェックさえしない、ということだから。英語ができない以上、翻訳を信じるしかないでしょう。

インターネットその他で、まず発信される情報を「一次情報」、翻訳される情報を「二次情報」と呼ぶことにしよう。二次情報は、当然、一次情報より、少ない。ただ量が少ないだけでなく、そこで一種の検閲がおこなわれるから、せっかく、インターネットで可能になった、自由な情報交換のメリットがなくなってしまう。

しかも、二次情報は、たとえどんなに良心的に訳されたものでも、エラーを含んでいる。中には、わざと間違った訳にしている場合もある。

いや、そういうケース、多いですよ。

例えば、ある日本の食べ物ブログで、クリントン前大統領が、菜食で減量した、という話を扱っていたのを読んだことがある。で、そのブログは、クリントンさんがダイエットを始めたきっかけとして、お嬢さんが「パパは太っていてかっこわるいから、結婚式に出席してほしくない」といったので、とある。

ほー、あのお嬢さん、そんなひどいことを言ったのか、と思って、その記事に引用されていたYouTubeの動画を見てみたんですが(当然、英語)。。。

注意して、二回聞いてみたんですが、そんなこと、いっていないんですよ。いっているのは、「ひとことで減量といっても、若いころと今とでは、動機が違いますね。若い頃は、見た目が第一でしたが、この歳になると、まず、健康です。娘が結婚するのなら、結婚式に出たいし、孫が生まれるのなら、その子の成長を見てみたいから」(要約しています)

この手の情報操作は、実は、とても多いと思う。でも、英語のできない人は、原典をチェックすることもできないから、翻訳者のいうことを信じるしかないんでしょうね。

つまりね、これからの日本(と、その他、英語があまりできない国)は、一部の人が、英語のできない多くの人を、情報操作し、洗脳する社会になるかも。

というより、もうそれが、かなり現実化しているのかも。

でも、先にも書いたけど、操作される側の人は、それに気づきもしないわけですよ。吹き替えで英語が見れて、便利ねーとか思っている。鎖国のころの日本と同じで、天下太平だと思っている。

なんかさー、見ていて、やりきれないというか、悲しいというか。

で、最後に、もひとつ頭にくることを書いておくと、「日本人の脳は特殊だから、英語はできなくて当然」とかなんとか、どうしようもない言い訳をいう「知識人」がいることだ。(まるで、私のようなのは、非国民だ、とでもいうように。あ、でも、これは私情でしたね。失礼しました)

英語ができるようになるためには、第一に、英語のできる人について習うこと。まともに英語の話せない英語の教師なんて、解雇してしまえばいいのさ。かわいそうではあるけど、職務を全うするだけの技能がないのだから、仕方がない。

一定期間(2年くらいか)以内に、できるようになってもらうか、他の仕事を見つけてもらうかでしょう。そんなしょうもない教師につく子どもや、そのまともに仕事のできない公務員の給料や年金に税金を使われる国民の方が、よほどかわいそうだ。(特に、前者は、国の未来に関わるのだ)

英語上達法のコツは、以前の記事にも書いたけど、英語を勉強するというより、英語で自分の好きなこと、興味のあることについて調べたり、英語でそれを楽しむこと。コトバは、媒介なんですよ。

「英語のお勉強」は、中学レベルの文法がわかったら、十分。コミュニケーションに使えるような英語を身につけるには、お勉強、というような、上っ面なことでは、役に立たないです。

ついでにいうと、英語ができる、というのは、英語で自分のいいたいことを適切に表現し、また相手のいっていることも理解して、商談をまとめるなり、学位を取るなり、なにかをすることです。発音とかは、まあ、あまりにも訛っていて通じない、では困るけど、完全にネイティブと同じになることを目指す必要はないのです。

(私は、例えば、ドイツ人やフランス人と、英語で話して、ちゃんと用事が足せます。彼らの英語は、ちょっとドイツ語なまり/フランス語なまりがあって、おもしろいなあ、と私は思うし、彼らの方も、私の英語って、ちょっと違う、と思っているでしょうが、別に、きっちり仕事になっているんだから、それでいいんです。仕事は、アナウンサーじゃないし)

あー、でも、こういう話を書くのって、ちょっとうっとうしいな。「フン、何さ、自分は英語ができると思って、鼻にかけちゃってサ」とか、思う読者もいらっしゃるでしょうし。

おまけ
おかしな日本語を使う日本人がいるのと同様、おかしな英語を使う英米人も、たくさんいます。「なんか、ここよくわからないなー。ひょっとしたら、おかしいんじゃないかな」と思ったら、相手がネイティブスピーカーだろうとなんだろうと、きっちり質問するといいです。(私は、勤めの頃、米人の書いた文書の添削をよくしていました。私が間違いやすいところと、米人が間違えるところは違うので、お互いに助け合って、丁度いいんですよ)

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10 件のコメント:

  1. こんにちは。はじめまして。

    テロンと申します。
    いろいろ記事を読ませていただいたのですが、
    食に関してニュートラルな意見がすごく
    参考になりました

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  2. テロンさん、こんにちは。

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  3. 今日は。
    「英語ができる」というのにも程度の差があるけれど、日本人が英語が苦手、できないという認識は、やや古いと思います。

    アケミさんが仰られるような「世界に置いてきぼりにされる」とか「グローバル化」「ガラパゴス化」といった言葉は日本でも数年前に持て囃され、その頃はツールでしかない英語をスキルと勘違いした残念な方々が多かったです。
    でも今は、数年前では考えられないほど翻訳サイトなどのとても便利なものが多いから、何をいってるかを理解するのは誰でもできるようになりました。ですから英語うんぬんよりも、個人がことの本質を見抜く能力のほうが重要だと思います。

    >一部の人が、英語のできない多くの人を、情報操作し、洗脳する社会になるかも。

    ネット環境がない年寄り、自分で調べることをしない、かなり物ぐさなひとでない限りは洗脳するのは難しいでしょうね。
    日本国内では今、メディアに対して不信感が強く、大変敏感になっています。アケミさんが仰るように、くだらない掲示板などでも一次資料のソースを提示するのが習慣のようになっています。
    私がおもうに、民主党の存在が悪い意味でとても大きかったのだと思います。
    あの政党のおかげで日本人は徐々にではあるが、メディアリテラシーを身につけ賢くなりつつあります。

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  4. このコメントは投稿者によって削除されました。

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  5. 名無しコメントさん
    まあ、私は、日本の現状にうといところがありますからね。こういうコメント、そうかもね、と受け流すこともできるんでしょうが、ちょっとがんばって、まともに受け答えてみましょうか。

    コトバ、というのは、コミュニケーションの道具(ツール)です。目的は、コミュニケーションなわけです。「スキル」というコトバの使い方が、ちょっとヘンですね。言語は、母国語でも外国語でも、
    knowledge (知識)と skill (技能)の組み合わせです。

    さて、コメントさんの意見には、情報の発信、という視点がありませんね。どれだけ、翻訳を読んでいても、自分の意見を相手がわかる形で表現できなくては、相手から見ると、その人は見えない、胃ないも同然なわけです。私の懸念のひとつは、ここです。

    次に、情報の受信、収集の方ですが、私は、翻訳のソフトとかサイトのことはよく知りません。時々、他のサイトを翻訳してフィードするサイトが、サーチに出てくることがありますが、ひどいものです。(英日の翻訳とは限らないです)まあ、でも、私の知らないすばらしい翻訳サイトがあるのなら、結構なことです。それを利用している人は、どのくらいいるんでしょうか。

    「個人がことの本質を見抜く能力」というのは、本当に大切です。私も、そのヘンのことを書いたこと、あります。

    http://tasty-memories-akemi.blogspot.com/2011/03/blog-post_20.html

    国際レベルのコミュニケーションができる人とできない人の格差、というのは、インターネットができて始まったことではありません。通常のメディアでも同じです。ネットは、それを加速させているだけです。

    そして、洗脳は、むしろまじめに情報収集する人の方が、危ないです。より多くの情報に接するわけですから、ガセネタにあたる確率も多い。上記の「本質を見抜く能力」というのがないと、大変です。

    もっとも、洗脳されている人に、それを指摘するくらいムダなことはないのですが。

    記憶で書いているので、細かいところがナンかもしれませんが、米国の大学(たしか、名門校)で、こんな実験をしたそうです。黒板に、数組の図をはる。各図には、3本の長さの違う線がある。普通の視力の人なら、どれが一番長いか、即、わかるような図です。ここに、被験者を10人呼んで、上中下のどれが一番長い線か、いってもらう。

    実は、はじめの9人は、サクラで、わざと二番目の線が一番長い、ということになっているんです。

    問題は、最後の、本当の被験者がなんというか。

    目は、どれが一番長い線か、わかっているんですよ。だけど、この実験では、何十組も実験して、最後の被験者が正しい答えをいう確立は、かなり低い(50%くらいだったか?)そうです。

    人間って、まわりに流されるものなんですよ。何回も聞いたことを信じてしまう。これが、サクラが2−3人なら、最後の被験者が正解する確率は上がるはずです。

    (つづく)

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  6. 最後に、日本でも、出典をきちんと書く習慣が根付いてきたのは、本当にいいことです。でも、出典があれば安心、ではないわけです。

    この記事に書いたことは、何年も考えてきたことですが、例えば、こんなブログを読んだのも、ひとつの契機でした。

    http://blog.livedoor.jp/gamasenninn/archives/51982888.html

    この記事が、情報源としているのは、これ。

    http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-1031.html

    この、「カレイドスコープ」の記事、一見、しっかりしていますよね。だけど、よく読むと、出典のない話がひとつ。そのひとつが、一番感情的に訴える、アメックスの話なわけですよ。つまり、これは作り話。

    デマの飛ばし方としては、上手です。ウソっていうのは、ほぼ全部真実の中に、ちょっとウソを交えるからこそ、信憑性がでてくるのです。(ついでにいうと、出典のある部分の中にも、誤訳がありますね。多分、わざと誤訳しているのです)

    以上、長くなりましたが、決して、コメントさんへの個人的攻撃ではありませんから、気になさらないでください。また、私の思い過ごし、日本の状況についての心配し過ぎがあれば、どうかお許し下さい。

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  7. >「スキル」というコトバの使い方が、ちょっとヘンですね。
    ご指摘どうも。カタカナ英語で日本ではこの使い方で通じるのですが。笑
    その日本のカタカナ英語の存在自体がおかしいといわれるなら、元も子もないですが。笑

    わたしは、アケミさんが日本の事情に疎いとおっしゃられてるのにも関わらず、日本のこと(日本人の英語の能力、情報収集能力)をなにもかもすべてわかった風に断定して話されていることが、そもそもの疑問です。日本のことを心配しすぎているとおっしゃられますが、元の記事からはそうはとれない。
    そもそも、重要な情報は全て、英語がなければ手に入れられない、英語を介して伝えらる、という前提でお話されているのが変ですね。「国際レベルのコミュニケーションができる人」を英語の話者のみに限定しているのも変。話者数ならスペイン語や中国語も多いワケで。

    >でも、出典があれば安心、ではないわけです。
    もちろんですね、一次資料のことをいっています。

    >そして、洗脳は、むしろまじめに情報収集する人の方が、危ないです。より多くの情報に接するわけですから、ガセネタにあたる確率も多い。
    ならば、国際レベルのコミュニケーション(英語)ができなくても、本質を見抜く能力に影響はないのでは?

    記事が、英語ができれば洗脳されない、と帰結されているようでいささか乱暴だとおもいます。

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  8. そういう風にも読めますかね。まあ、それは、読者によるでしょうから、私は、これ以上あれこれいうのはやめておきましょう。

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  9. 自分の書いたコメントを読み返し、ずいぶん刺々しい書き方をしてしまい、失礼なことをしてしまったと反省しています、すみません。
    前後の記事やコメントを拝見させていただき、アケミさんはこのブログのファン(日本人へ)のことを真剣に想って、記事をかかれていたんだとわかりました。
    私のコメントは、アケミさんの想いを知らずに書き込んだものでしたので、刺々しいものになってしまいました。本当にごめんなさい。
    コメントは気に入らなければ削除なさってください。失礼いたしました。

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  10. コメントは、明らかなスパム以外は削除しない方針ですし、だいたい、私も、レスを書くのに、相当の時間をかけましたから、これはこれでとっておこうと思います。

    こういうコメントが来るだろうことは、前もってわかっていました。だからこそ、これまで書かずにうだうだしてきたわけで。各読者が、自分の背景や性格、読解力に基づいて読めばいいのだと思います。

    もうおわかりだとは思いますが、私は、英語ができればそれでオーケーとは思っていません。英語ができなくて頭のいい人も、もちろんいますし、英語ができて流されやすい人もいる。ただ、コトバができる方が有利だとは思っています。

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